ゆうちゃん(再掲)
ゆうちゃんは、子どもらしく、めっちゃめちゃ元気。
別の言い方では、やんちゃ。悪い。でも、お母さん大好きで、とてもよい子だ。
お母さんの弟さんが京都にいる。このおじさんがゆうちゃんをとても可愛がっている。
それで、京都に遊びに行かせることになった。去年の冬。ゆうちゃんは、小学1年生。
ゆうちゃんちは、自宅から名古屋までは地下鉄、バスを乗り継いで1時間ほどかかる。
それで、お母さんがJR名古屋駅まで送り、
「のぞみ○○号の○両目に乗ったよ。よろしく。」と弟さんへ電話する。
京都に無事、到着。
新幹線ホームにおじさんや従兄弟たちが迎えに来ていて、楽しい楽しい休日が始まる。
ひとりきりの新幹線旅行だ。
ひとりで新幹線に乗って大丈夫だった?寂しくなかった?と、みんなが聞くけれども、
「ぜんぜん、大丈夫ぅ~。」とゆうちゃんは平気。子どもはたくましい。
さて、楽しかった休みも終わって、帰る日になった。
京都駅のホームで、おじさんちのみんなが手を振って見送る。
「ゆうちゃん、またおいでね~。」
「次は、名古屋に遊びに行くからね~。」
名古屋駅の新幹線ホームでは、お母さんが待っていた。
ゆうちゃんの乗った新幹線が無事に到着。降りてくるゆうちゃんを、待っているのだ。
おかしい。
乗ったはずの車両から降りてこない。新幹線から、もう降りてくる人はいない。
他の号車へ探しに行くけれども、やっぱりいない。
弟さんへ電話する。
間違いなく、のぞみ○○号に乗ったという。○号車も間違っていない。
でも、どこにもいない。
ホームをかけずって探す。改札にも行って見る。
も一度、ホームを探す。いない。別の改札へも探しに行く。いない。
駅員に相談。もうすでに、おかあさんは取り乱し始めている。
駅員は冷静に聞き取りをしてくれて、まずは呼び出しをしてくれた。
でもいない。手分けして在来線ホーム、名古屋駅コンコース内も探してくれた。
時間はどんどん過ぎていく。10分、20分、30分、、、。
警察に行き、捜索願いを出す。おかあさんは、もうぼろぼろに泣き崩れている。
もしかすると、誘拐かも。
もしかすると、何か事故か。とにもかくにも、ゆうちゃんはどこにもいない。
おじさんが名古屋まで駆けつける。
実はゆうちゃんちは、母ひとり、子ひとりの母子家庭なのだ。
お姉さん、大丈夫だからと肩を抱く。お母さんはおお泣きで、おめいている。
ところで、ゆうちゃんはといえば、、、。
実は、家にひとりでちゃんと帰っていた。途中、親切な人がいっぱいいたらしい。
名古屋駅でどうしてもママに会えず、仕方ない。自分で帰ろうと心に決めた。
地下鉄の乗り方も、切符の買い方も、乗り換えも、、、、
途中、途中で出会ったおじさんや、おばさん、お兄ちゃんや、お姉さんが教えてくれた。
バスに乗るまでも、知らないおじさんが案内してくれた。
事情を言って「お願いしますね。」バスの運転手さんに託してくれた。
それで、ゆうちゃんは無事に自宅に帰った。
鍵を持ってなかったから、そのままお母さんの帰宅を待っていた。
ゆうちゃんは、今日も元気で、悪くて、やんちゃだけど、お母さんのこと大好きだ。
お母さんも、ゆうちゃんをすごく可愛がっている。
小学2年生になって、去年とは見違えるほどまた成長したようだ。
ただし、次から京都に行くときは、ゆうちゃんもMY携帯を持っていくらしい。
子どもは大人が思っている以上に、たくましい。立派だ。大人だと思う。
男の子であればなおさらだ。ちなみに、とらのこどもも小学6年生くらいからは、
成長していないなあ、と思っている。身体は成長した、もちろん、経験も積んだ。
でも、精神的な部分はあの頃と変わりない気がする。
記:とらのこども
by toranokodomo | 2013-01-29 16:28 | 指定なし