自分の感受性くらい
ぱさぱさに乾いていく心を
他人のせいにはするな
自ら水やりを放っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのは、どちらなのか
苛立つのを近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたし
初心、消えかかるのを暮らしのせいにはするな
そもそもがひよわな志(こころざし)にすぎなかった。
駄目なことの一切を時代のせいにはするな
自ら残る尊厳の放棄
自分の感受性ぐらい、自分で守れ
ばかものよ。
作:茨木のり子さん「自分の感受性くらい」より
by toranokodomo | 2012-06-08 18:48 | 指定なし