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転載① 「キウロス危機の黒幕」

日本のエリートがこっそり読んでいる秘伝のメルマガ


ロシア政治経済ジャーナルより転載


http://rpejournal.com/


 


 


▼ロシアの「オフショア」としてのキプロス



税金が安い、あるいは無税の国や地域を「オフショア」といいます。



日本人にはあまりなじみがありませんし、「オフショア」ときくと、「悪

いことしている」イメージをもちます。



(例、マネロン)



しかし、こんな話もあります。



たとえば、私の知人のネット長者たちは、最近香港やシンガポー

ルに引っ越している。



なんで?



税金が安いからです。



日本は、所得税の最高税率が40%でしょう?



それを、政府は45%まであげようとしている。





一方、香港やシンガポールは、15~17%。



Aさんの年収が1億円だとしましょう。



すると、日本では4000万円所得税を納めなければならない。



シンガポールなら1500万円。



その差額は、年間2500万円にもなります。



日本で所得税引き上げが実施されれば年間3000万円も差がでる。



これ、松本市郊外だったら、結構立派な家が建ちますよ。





今は、パソコンがあればどこでもお金を稼げますから、ネット長者

たちは、節税目的で香港やシンガポールに逃げちゃうのです。





(もちろん、「節税目的で」とは普通いいません。



「夢を求めて」とか「国際人になるために」とかいいます。(笑))







日本政府も、ちょっと考えたほうがいいですよ。



グローバル時代ですから、日本だって所得税を15%くらいまで

下げれば、全世界から金持ちが移住してきます。



なんといっても日本は「世界一安全な国」なのですから。







それは置いておいて。



日本の富豪は、香港やシンガポールを使う。



ロシア人はどこを使うかというと、主に「キプロス」を使っていたの

です。



ここで、「ロシア通」は、疑問が出てくるでしょう。





「ロシアの所得税は、一律13%で安いのに、なんでキプロスに逃

げるのですか?」





いくつか理由があります。





一つは「節税」。



たとえば、ロシア企業A社がイギリス企業B社になにか売った。



普通、イギリス企業B社は、ロシア国内の銀行に代金を振り込み

ます。



これは、税金の対象になる。



しかし、イギリス企業B社が、オフショアにあるA社の子会社(あ

るいは法的には別会社)に代金を振り込めば?



そう、税金をほとんど、あるいはまったく払わなくてすむ。







二つ目は、「マネロン」(資金洗浄)



欧州の「金融センター」といえば、すぐ思い出すのがスイス。



なぜロシア人はスイスを使わずにキプロスを使っていたのでし

ょうか?



「フォーブス」誌のトファニュクさんはいいます。



「スイスでは、100万ドル以上の取引について金の出所を聞かれる。



キプロスは、よけいな詮索をしない」



これって要するに、「黒い金」をおいておけるということですね。







三つ目は、「資産保全」。



ロシアの金持ちは、最近亡くなったベレゾフスキーもそうですが、

ロシアから逃げ出す傾向があります。



なぜか?



プーチンに目をつけられたら、どんな大富豪でも「資産を没収」

されることがある。



ベレゾフスキーは、半官半民のテレビ局「ORT」株を、強制的に

売却させられた。



ホドルコフスキーの石油会社ユコスは、倒産させられ、国営ロス

ネフチに吸収された。



規模はいろいろですが、ロシアでは、「金ができると当局から

目をつけられ、ひどい目にあう」と信じられている。





それで、金ができたら、キプロスやスペインに豪華別荘を買い、

ロンドンに逃げるのが夢だったりするのです。



外国にある資産は、没収するのが難しいですからね。





▼キプロスには、ロシアの金がいくらある?



そんなキプロスですが、近年はオフショアとしての魅力がうすれて

いました。



なぜでしょうか?



日本人には意外な理由ですが、キプロスが08年に「ユーロ圏」に

はいったこと。



「あ~、これからEUの監視が厳しくなって、動きにくくなるよね~」



ロシアの金持ちたちは、こう嘆いたのです。



とはいえ、まだ5年しか経っていませんから、そのまま惰性で使い

つづけていた個人、企業も多い。





ロシアで唯一「反プーチン報道」をつづけるREN TVの人気番組

「ニデーリャ」は3月23日、



「ロシアはキプロスにどのくらい金をおいているの?」



という話をしています。



(ロシア語がわかる人は↓

http://www.youtube.com/watch?v=_Xaejf7bMa8 )





この番組でわかったこと。



・ロシアの民間大企業ばかりでなく、国営企業(!)もキプロスを

使っている(メドベージェフ首相が認めている)



・キプロスには、ロシアの資金が270億~350億ユーロある。

(日本円で3兆2400億円~4兆2000億円)



●メドベージェフは、「キプロスでロシア国営企業の口座が凍結さ

れた」と語った



・専門家は、「大きな石油取引に影響が出る可能性も否定できな

い」と指摘している



・西側では現状を、「プーチンとメルケルの戦い」と表現している



●ロシアの新興財閥は、キプロスに登記した企業をとおし、ロシア

の大企業を所有している



●たとえば、「ノリリスク・ニッケル」「メタル・インベスト」「バザヴィー

・エレメント」「インターロス」「ウラルカリー」「ノヴァテック」「NLMK」

などなど



・キプロスは、今回のできごとで「金融センター」としての地位を失っ







ここまで、あまり日本では聞かない話でしょうが、新聞にも少しでて

いました。







<訂正:ロシア首相、外国預金者に負担強いる対キプロス支援を批判



ロイター 3月26日(火)0時3分配信



[モスクワ 25日 ロイター] ロシアのメドベージェフ首相は25日、ロ

シアの顧客を含む外国預金者に損失負担を強いる対キプロス支援に

ついて「盗みが続いている」とし、批判的な姿勢を鮮明にした。



キプロス政府は週末、100億ユーロの国際支援を受ける条件として、

国内2位の銀行閉鎖と10万ユーロ(13万ドル)以上の大口預金者に

負担を求める内容で合意した。



キプロス中銀の1月のデータによると、EU外の顧客によるキプロスの

国内銀行への預金総額190億ユーロ(訂正)(金融機関除く)のうち、



ロシアからの資金が大半を占めているとみられている。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



通信社は、メドベージェフ首相が政府高官との会合で



「すでに盗まれた物への盗みが続いている」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



と語ったと報じた。>





ここからがもっと面白い。



なんと、キプロス危機をあやつっているのはアメリカだというので

す。



目的は、「ロシアいじめ」。





▼キプロス危機の黒幕



3月24日、「ヴェスティ ニデーリ」という番組を見ていました。



これは、国営放送RTRの番組ですから、ロシア政府の見解とみ

て間違いありません。



番組は、「キプロスにあるロシアの汚い金を没収しろ!」という

ドイツの立場を激しく非難しています。



「欧州でそんなことをしたのは、ヒトラーだけだ!」というのです。





キプロスの財政問題がクローズアップされたのは2012年11月

でした。



ドイツの情報機関BNDが、シュピーゲル(Spiegel)誌にこんな情報

を与えたのです。





<キプロスは、デフォルトの瀬戸際にいる。



だが、救済する必要はない。



(救済に使われるお金は)80人のロシア新興財閥の手にわたって

しまうからだ。>





これだけだと、「なんだ、ドイツが、ロシアのマネロンと戦ってるの

ね」と思います。



しかし、国営放送RTR(つまりクレムリン)は、「ドイツが黒幕じゃ

ない」とみている。



番組には



「Gods of Money: Wall Street and the Death of the American

Century」



の著者F. William Engdahl が登場し、いいます。





・キプロス問題でドイツの役割は大変重要だ。



・ドイツが(キプロスに対して)厳しい措置を主張しつづけていると

いう事実は、(キプロス問題が)地政学的危機であることを示して

いる。



・(これは)モスクワとベルリンではなく、モスクワとワシントンの危

機なのだ。



・キプロスの銀行からロシアの資金を奪うという、欧州財務相とIMF

の決定は、入念に計画されたものである。



・この措置の目的は、ロシアと、欧州におけるロシアの国益に打撃

を与えること。







要するに、アメリカが、IMFとドイツを操り、キプロスにあるロシアの

金を巻き上げたというのです。





William Engdahlさんの言葉を紹介した上で、司会者はいいます。



<そうであるならば、FRBのバーナンキ議長が、妙に穏やかだった

理由が理解できる。



彼は「私たちはキプロス情勢を注意深く見守っている。しかし、

アメリカの金融システムや経済にリスクはない」といった。>





この後、番組は、「アメリカの大企業だって、利益の40%をオフ

ショアに流している」。



インドもブラジルも中国も、それぞれオフショアを使っている。



なんでロシアだけこんなひどい目に会うのかと怒りをあらわに

します。





ところで、ロシアは実際どの程度被害を被るのでしょうか?



上の記事を再度引用してみましょう。







<キプロス政府は週末、100億ユーロの国際支援を受ける条件として、

国内2位の銀行閉鎖と10万ユーロ(13万ドル)以上の大口預金者に

負担を求める内容で合意した。



キプロス中銀の1月のデータによると、EU外の顧客によるキプロスの

国内銀行への預金総額190億ユーロ(訂正)(金融機関除く)のうち、



ロシアからの資金が大半を占めているとみられている。>

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~





・10万ユーロ(1200万円)以上の大口預金者に負担を求める。



1200万円って、企業(特にロシアの大企業)にしたら「屁」のような

お金です。



1200万円を超える預金は、国が没収し、借金の返済にあてられる

というのです。



何%とられるかはきまっていませんが、30~40%だろうといわれて

います。



どうですか、皆さん。



「利子がつく」「タンス預金より安全!」と思って銀行に預けておい

たら、



ある日突然「あなたの預金の40%は没収です!」といわれたら。





ロシアがこういうひどい仕打ちにあったことについて、国営放送

RTR(つまりクレムリン)は、



「アメリカの陰謀だ!」と確信しているわけですな。



それで、番組ではこんなことをいっています。



<もっとも重要なこと。



これらのことは、「ロシア人に対しては、こういう(ひどい)ことを

『してもいい』だけじゃない。



『しなきゃいけないのだ』というスローガンのもとに行われてい

る。



彼らは、「野蛮人」「ギャング」「泥棒」「ゲイ差別主義者」なのだ

から。>



<すべては、



「新しい世界秩序は、『反ロシア』で『ロシアの金』で『ロシアの

廃墟の上に』つくられる」



という有名なテーゼと一致している>





というわけで、今回の話は、



「クレムリンは、キプロス危機の黒幕はアメリカだと確信している」



という話でした。



プーチンは、どんな逆襲に出るのでしょうか?



こわいぞ。



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<プーチン本はいろいろ出ているが、これが独特で面白い。>



(立花隆 「週刊文春」2012年7月12日号)

 


 


日本のエリートがこっそり読んでいる秘伝のメルマガ


ロシア政治経済ジャーナルより転載


http://rpejournal.com/


by toranokodomo | 2013-04-21 12:48 | 世界経済  

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