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「からだこころいのち」より

 


秋晴れの空に紅葉が映える。日本海側か太平洋側かなど、地方によって違いはあるが、10月頃から空気が乾燥する所が多い。だが人は渇きには、空腹と違って比較的鈍いものだ。汗が出にくい秋冬は、水分をとるのをつい忘れる人が多い。夏には「熱中症対策に水分を」と言われるが、秋冬にはこうした注意もあまり聞かない。この季節、皮膚から絶えず水分は蒸発しているのだから、水分をとることにもっと気を留めるとよいだろう。


 


 ある方が「年をとると冬は肌がかゆくて」とせっせとスキンクリームをぬっていた。だが水分が足りないままクリームをぬっても、かゆみはあまり治らないだろう。「のどがいがらっぽい」と冬はずっとマスクをつけている方もいる。だが水分不足でマスクをつけても、保湿には今一つだ。まずは水分をとることが大事なのだ。


 


皮膚がかゆい、たんが粘る、口が苦い、口角が切れる。こうした多くの症状が水分不足から起きうる。また、粘膜が乾燥するため、ドライアイや目の充血、鼻血が出やすくなる、カラぜき、性的な潤いの不足なども起こる。尿の色が濃くなり、量が少なくなる。トイレが近くなり、残尿感がでる。血液中の水分も不足するため、脳血管の流れが悪くなって頭が重い、頭痛、肩こりも起こることがある。胃酸が濃くなって胃痛になることもある。


 


 乾くと身体は水分をためこもうとするようで、むくみやすくなり、手足が冷えて、寒さが厳しく感じられる。むくみを水分の取り過ぎと思うのは逆で、水分が満ちることでかえってむくみは軽減して、同じ気温でも身体は暖かく感じられる。心理的にも、身体が乾くとイライラし、潤うとほっとするのは、実感できることだ。身体の動きも、乾くとぎこちなくなり、潤うと柔軟になる。乾燥の影響は、じつに多方面にわたるのだ。


 


水分は、少しずつ蒸発していくので、補給もちびちびと飲むのがお勧めだ。一度にたくさん飲むと、尿ですぐ排泄されて身体に浸みこみにくい。身体が乾いている人は最初、水分をとる必要性を実感しにくいものだ。秋冬にこまめに水分をとるように心がけていると、ようやく3年目くらいに本当に渇きの感覚もはっきりして、水がおいしく感じられ、飲むと身体に浸みこみやすくなる。


 


 多種多様な電解質の物質などが、私たちの体内の水には溶け込んで働いている。水があって初めて生命の営みが可能だ。私たちは何よりも水なのだ。まずはだまされたと思って、秋冬にこまめに水分をとってはどうだろう。


 


以上は、「からだこころいのち」


平山満紀さん、産経新聞12月3日夕刊より転載。


http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/121203/wlf12120308000004-n1.htm


by toranokodomo | 2012-12-04 21:57 | 指定なし  

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